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空き家対策特別措置法を徹底解説!
法改正で固定資産税が6倍になる条件と回避策

空き家を所有している方、あるいは将来実家を相続する予定がある方にとって、「空き家対策特別措置法」は、生活と資産を守るために避けて通れない法律です。特に2023年12月の改正法施行により、「固定資産税が最大6倍になる」基準が大幅に拡大されました。

本記事では、改正法の全容からペナルティの詳細、そして所有者が取るべき具体的な回避策までを網羅的に徹底解説します。

1- なぜ今「空き家対策特別措置法」が重要なのか?

空き家対策特別措置法の正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。

地域の生活環境を保全し、空き家の活用を促進するために2015年に施行されました。

そもそも法律上の「空き家」とは、居住やそのほかの用途に供されていない状態が常態化している建築物を指します。その判定基準としては、おおむね1年間にわたる利用実態の有無が目安となり、ライフライン(電気・ガス・水道)の使用履歴や建物の立入状況などを詳細に調査した上で、最終的に特定されます。

日本国内において、空き家問題はもはや個人の所有物という枠を超え、地域社会全体の安全や活力を揺るがす深刻な社会問題へと発展しています。

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、居住目的のない空き家は2023年時点で全国に約385万戸存在し、この30年間で約2倍にまで膨れ上がりました。さらに、2030年には約470万戸に達するという推計もあり、増加のスピードは加速しています。

これは、少子高齢化や都市部への人口集中、さらには「相続した実家をどうすべきか」という決断の先送りが生んだ結果といえるでしょう。

法律の目的と行政の権限

空き家対策特別措置法は地域の生活環境を保全し、空き家の活用を促進するために2015年に施行されました。

この法律により、自治体は以下のような強力な権限を持っています。

  • 立入調査:所有者の許可なく敷地内に立ち入り、空き家の状態を確認できる。
  • 行政処分:適切な管理が行われていない場合、助言、指導、勧告、命令、そして強制執行(代執行)が可能。

2- 2023年12月施行!法改正のポイント

全国的に増え続ける空き家問題に対応するため、空き家対策特別措置法は、時代の変化に合わせて見直しが進められてきました。特に近年の改正では、放置された空き家への対応強化や、所有者の管理責任の明確化などが大きなポイントとなっています。

本章では、空き家対策特別措置法の主な改正ポイントを分かりやすく整理し、今後空き家を所有・相続する方が知っておくべき注意点について解説していきます。

空き家の利活用を加速させる仕組み

地域の中心部などを「空家等活用促進区域」に指定し、用途変更や建て替えの規制を緩和することで、空き家の再生を促します。

自治体が所有者に積極的な活用を働きかけるほか、相続などで所有者が不明な場合でも、自治体の請求により裁判所が「相続財産清算人」を選出できる体制が整いました。

また、専門的な支援を行う「空家等管理活用支援法人」制度も新設されています。

「相続財産清算人」については後ほど詳細を解説します。

放置を防ぐ管理体制の強化

「特定空家等」に加え、その予備軍である「管理不全空家等」という枠組みが創設されました。

また放置すれば危険になるおそれがある段階で行政が指導・勧告を行い、勧告に従わない場合は固定資産税の優遇(住宅用地特例)が受けられなくなります。

危険な空き家の迅速な撤去

倒壊のリスクが高い「特定空家等」への対応を迅速化するため、緊急時には通常の手続きを一部省略して代執行(強制撤去)を行うことが可能となりました。

さらに、所有者が不在・不明な物件についても、自治体が裁判所に管理人の選任を申し立てることで、修理や解体を進めやすくなっています。

3- 「特定空家等」と「管理不全空家等」を分ける基準

空き家対策特別措置法では、管理状態の悪い空き家を「特定空家等」や「管理不全空家等」といった区分に分け、それぞれに応じた対応が行われています。しかし、「どこからが管理不全空家等なのか」「いつ特定空家等に指定されるのか」といった基準について、正確に理解している方は多くありません。

本章では、「特定空家等」と「管理不全空家等」のそれぞれに該当する具体的な判断基準について分かりやすく整理し、空き家所有者が注意すべきポイントを解説していきます。

特定空家等の定義

以下のいずれかに当てはまると判断されると「特定空家等」に指定されます。

1. 保安上危険 判断基準:倒壊のおそれがある、屋根や外壁の剥落・飛散 など

2. 衛生上有害 判断基準:石綿(アスベスト)の飛散の可能性が高い吹付け石綿の露出、汚水などの発生、ネズミ・蚊の発生 など

3. 景観の著しい毀損 判断基準:屋根ふき材、外装材、看板などの著しい破損又は汚損 など

4. 生活環境の保全に不適切:立木の枝の著しいはみ出し、頻繁な落雪の形跡 など

管理不全空家等の定義

管理不全空家等は、上記のような「特定空家等」の状態に将来的に該当する予兆がある状態を指します。

これらを放置し、自治体からの「指導」に従わない場合に「管理不全空家等」として「勧告」を受け、増税の対象となります。

4- 行政措置のステップと課せられるペナルティ

自治体からのアプローチは、段階を追って厳しくなります。どの段階でどのようなリスクが発生するのか、正確に把握しましょう。

助言・指導

もっとも初期の段階です。改善を求められますが、すぐに改善すれば不利益はありません。

勧告

指導に従わない場合に出されます。

ペナルティ:土地の固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍に上がることが想定されています。詳しくは次章で説明します。

命令

勧告を受けても放置し続けた場合、法的義務を伴う「命令」が出されます。命令に違反すると、50万円以下の過料が科せられることが想定されています。また、空き家の前に「命令中であること」を示す標識が立てられます。

行政代執行(強制執行)

命令にも従わない場合の最終手段です。

自治体が所有者に代わって、強制的に建物の解体や草木の伐採を行います。かかった解体費用(数百万円単位になることも多い)は原則として、すべて所有者に請求されます。

支払わない場合は、税金の滞納と同じ扱いで、原則として、給与や資産の差し押さえ(強制徴収)が行われます。

5- 固定資産税が「最大6倍」になる仕組みの正体

なぜ「6倍」という極端な増税が起こるのでしょうか。それは、本来「住宅が建っている土地」に与えられている優遇措置が取り消されるからです。

住宅用地特例とは?

住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税の課税標準額が以下のように軽減されています。

  • 小規模住宅用地(200m2まで):固定資産税が1/6に軽減
  • 一般住宅用地(200m2超の部分):固定資産税が1/3に軽減

勧告による特例の解除

「特定空家等」や「管理不全空家等」として行政から「勧告」を受けた結果、この軽減措置が受けられなくなり、更地と同じ高い税率に戻ります。

これが、固定資産税が「最大6倍」になるといわれる理由です。

6- 空き家のリスクを回避するための対策

空き家のリスクは、「放置している時間」が経つと静かに大きくなっていきます。

老朽化による倒壊や雨漏りだけでなく、防犯性の低下、不法侵入・不法投棄、景観悪化による近隣トラブル、税負担の増加など、一つひとつは小さく見えても、積み重なると所有者にとって大きなダメージとなりかねません。

こうした事態を未然に防ぐには、「問題が起きてから対処する」のではなく、「問題が起きる前に手を打つ」ことが重要です。

この章では、空き家が抱える代表的なリスクをどのように軽減・回避していけばいいのか、自分でできる日常的な管理から空き家管理サービスの活用まで、具体的な対策を分かりやすく整理してご紹介していきます。

自分で管理を行う

将来的に自分で使う、あるいは親族が住む予定がある場合は、管理不全空家等に指定されないよう、管理が必要です。

  • 定期的な換気・通水:排水トラップの封水切れによる臭気や害虫の侵入などを防ぎ、建物の傷みを遅らせます。
  • 庭木の剪定・草刈り:枝のはみ出しは近隣クレームの最大の原因です。

「売却」して資産を整理する

活用予定がないのであれば、早期売却がもっとも確実な解決策です。

  • 古家付き土地として売却:建物がまだ使える、あるいは解体費用をかけたくない場合に有効です。
  • 更地にして売却:建物が古すぎる場合、更地にしたほうが買い手がつきやすく、高く売れる傾向があります。
  • 「買取」の活用:早期に処分したい場合、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」なら、契約不適合責任(瑕疵担保責任)の免除や短期間での現金化が可能です。

「賃貸・利活用」で収益化する

立地や状態がよければ、収益物件として再生させる道があります。

  • リノベーションして貸し出す:賃貸住宅として提供すれば、家賃収入で税金や維持費を賄えます。
  • さまざまなサービスの利用:所有者の自己負担ゼロでリノベーションを行い、管理・募集を代行してくれるサービスもあります。カフェや宿泊施設などへの転用事例も増えています。

自治体の「補助金・助成金」を活用する

多くの自治体では、空き家の解決を支援する制度を設けています。

  • 解体費用補助:老朽化した空き家の解体費用を、最大で数十万~数百万円補助する制度です。ただし「特定空家等」に指定される前であることが条件の自治体も多いため、早めの相談が必要です。
  • 改修費補助:賃貸や住宅としての再利用を目的としたリフォーム費用への補助です。

空き家管理サービスを使う

空き家を安全に維持するためには、所有者自身による定期的な見回りや清掃が理想ですが、実際には「遠方に住んでいて頻繁に行けない」「仕事や家事が忙しく、時間が取れない」という方も少なくありません。

そこで有効な選択肢となるのが、専門事業者による空き家管理サービスです。空き家管理サービスでは、主に次のような管理業務を代行してくれます。

  • 建物外周の点検(外壁・屋根・雨どいの破損や劣化状況の確認)
  • 郵便物・チラシの回収(空き家と悟られないための防犯対策)
  • 破損箇所や異常の有無を写真付きレポートで報告

これらを定期的に実施することで、倒壊・老朽化・景観悪化・防犯上の不安といったリスクを大幅に抑えることができます。

結果として、「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定される可能性を下げ、指導や勧告・固定資産税の軽減措置の解除といった不利益を避けやすくなります。

7- 知っておきたい「相続財産清算人制度」と「相続トラブル」

空き家問題の多くは、相続が発生した際の「名義変更の放置」や「相続人同士の話し合いの不足」が原因です。

相続財産清算人の選任(改正法の重要ポイント)

相続人がいない、あるいは相続人が誰一人管理を行わない場合、自治体は裁判所に「相続財産清算人」の選任を請求できるようになりました。

選任された相続財産清算人は、所有者に代わって空き家を修繕したり、売却したり、解体したりする権限を持ちます。これは、「誰のものか分からないから放置される」空き家を強制的に解消するための仕組みです。

家族会議の重要性(「住まいのエンディングノート」)

空き家になってから悩むのではなく、親が元気なうちに「実家をどうするか」を話し合っておくことが大切です。国土交通省は「住まいのエンディングノート」や「空き家すごろく」などのツールを通じて、早期の家族会議を推奨しています。

まとめ

空き家対策特別措置法は、「問題のある空き家」を放置させないための強い仕組みです。「特定空家等」や「管理不全空家等」に認定されれば、指導・勧告・命令に加え、固定資産税の住宅用地特例の解除や、最終的には行政代執行による強制的な解体と費用負担といった、所有者にとって重いペナルティが科される可能性があります。

だからこそ、「空き家をどう活用するか」だけでなく「活用するまでどう適切に管理するか」を考えることが重要です。特に、遠方に住んでいたり、仕事や子育てで忙しかったり、相続人同士の調整に時間がかかってすぐに売却・賃貸に踏み切れなかったりする場合には、専門業者による空き家管理サービスの活用が有効です。

定期巡回や換気・通水、庭木の手入れ、郵便物の回収などをプロに任せることで、建物の老朽化や景観悪化、防犯面の不安を抑え、「特定空家等」や「管理不全空家等」指定のリスクも下げることができます。

空き家対策特別措置法の内容を踏まえつつ、将来の売却・賃貸・二拠点居住などの選択肢を残したい方は、まずは空き家管理サービスを上手に組み合わせて、「法律に振り回されない空き家管理」を始めてみてはいかがでしょうか。

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