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相続した空き家の放置は厳禁!リスク回避のための方法などを解説

実家相続

相続で実家を受け継いだ結果、「使う予定のない空き家」を抱えてしまう人が近年急増しています。国の統計でも空き家はこの20年で大幅に増え、多くが相続をきっかけとして発生しているとされています。

「いつか使うかもしれない」「壊すお金がもったいない」と先送りにしていると、固定資産税の負担増や近隣トラブル、行政からの指導・強制撤去など、時間とともにリスクは膨らんでいきます。

一方で、きちんと手続きを踏み活用に向けて検討すれば、負担を抑えつつ有利な節税も可能です。

そこでこの記事では、空き家を相続したときに直面する主なリスク、必要な手続き、代表的な対処方法、そして「空き家の3,000万円特別控除」を中心とした税制上のメリットについて、全体像を整理してご説明します。

1- 空き家を放置することで生じる主なリスク

この章では、空き家を放置することで生じる主なリスクについて解説します。

固定資産税・都市計画税が一気に高くなるリスク

空き家であっても土地と建物を所有している限り、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。

通常、居住用の住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準額は最大1/6、都市計画税は最大1/3まで軽減されています。

しかし老朽化や管理不全が進んだ結果、「管理不全空家等」や「特定空家等」に認定され、自治体から指導・勧告を受けると、この軽減措置の対象から外されてしまいます。

その場合、同じ土地であっても税額が最大6倍程度に跳ね上がる可能性があり、空き家を抱え続けるコストは一気に重くなります。

資産価値の低下と売却の難しさ

空き家は風通しや清掃がされているかどうかで、劣化のスピードが大きく変わります。放置された家は、内装の傷みやカビ、設備の故障、外壁や屋根の劣化が進み、資産としての評価が急速に下がります。

近隣トラブルや損害賠償リスク

空き家の管理を怠ると、次のようなトラブルの原因になります。

  • 建物や塀の倒壊、瓦・外壁の落下
  • 雑草や庭木の越境による日照・景観・通行の妨げ
  • ネズミや害虫の発生、不衛生な状況による悪臭
  • 不審者の侵入や不法投棄、放火の危険
こうした問題によって近隣住民に損害が発生した場合、「適切な管理を怠った」と判断されると、所有者である相続人が損害賠償責任を負う可能性があります。

特に台風や地震などの災害時には、老朽化した家屋の被害が周囲に及びやすく、トラブルに発展するリスクが高まります。

行政代執行による強制撤去と費用請求

老朽化や危険性が著しい空き家については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、自治体が「管理不全空家等」→「特定空家等」と判断し、指導・勧告・命令といった段階的な対応を行います。

それでも所有者が改善に応じない場合、最終的には行政代執行として、自治体が強制的に建物を取り壊すことがあり、その場合の解体費用は後日、所有者に請求されることが想定されます。

「何もしないで済ませよう」としていたつもりが、かえって高くつく結果になりかねません。

2- 空き家を相続したときに必要な手続きと相続登記義務化

空き家のリスクを軽減し、今後の売却・活用の選択肢を確保するためには、相続が発生した段階で基本的な手続きをきちんと進めることが重要です。

2024年4月からの相続登記義務化

これまで相続登記には明確な期限がなく、名義を変えないまま何十年も放置されているケースが多数ありました。その結果、所有者不明土地が増え、公共事業や防災対策の妨げになっていることから、法律が改正されました。

2024年4月1日以降は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務となり、正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

過去の相続で名義変更をしていない不動産についても、この義務化の対象になります。

遺産分割協議に時間がかかりそうな場合には、新たに設けられた「相続人申告登記」を利用することで、ひとまず義務を果たした扱いにすることができます。いずれにせよ、「名義を変えないまま放っておく」は、今後ますますリスクの高い行動になります。

3- 空き家の資産価値に応じた対処方針

空き家の資産価値

空き家をどうするかを考えるときの大きなポイントは、「その不動産に、まだ市場価値があるかどうか」です。立地や築年数、周辺環境などによって、取れる選択肢は変わってきます。

資産価値がある場合の代表的な選択肢

この節では資産価値がある場合にどうすべきかについて解説します。

相続開始から3年以内の売却

今後自分や家族が住む予定がなく、売却ニーズが見込めるエリアの家であれば、売却がもっともオーソドックスな選択肢です。売却により現金化すれば、固定資産税や維持費、将来のトラブルへの不安から解放されます。

特に重要なのは、「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却するタイミングです。

この期間内であれば、「空き家の3,000万円特別控除」の特例を使える可能性があり、譲渡所得税を大きく減らすことができます。

賃貸物件として活用する

空き家をリフォームし、賃貸用として貸し出せば、家賃収入を得ることができます。人が住むことで建物の状態も保たれやすく、「空き家」の状態よりは周囲から見ても安心感があります。

ただし、入居可能な状態にするためのリフォーム費用や設備更新費用、入居者対応・管理業務などの負担が増えるほか、貸主としての責任も発生します。

また賃貸用として利用を始めると、基本的に3,000万円特別控除の対象から外れてしまう点にも注意が必要です。

自分で住む・セカンドハウスとして使う

相続人自身が実際に住むことで、賃貸住宅の家賃を抑えられる、立地によっては通勤や生活の利便性が上がるといったメリットがあります。居住用住宅となるため、住宅用地の特例も継続して利用でき、特定空家等への指定リスクも避けやすくなります。

また一定の条件を満たす相続人がその家を取得して居住する場合には、小規模宅地等の特例により、土地の相続税評価額を最大80%減額できる可能性があります。

資産価値が乏しく処分したい場合の選択肢

この節では資産価値が乏しい場合の対応方法について解説します。

建物を解体して更地にする

老朽化が著しく、そのままでは買い手がつかないような場合には、建物を解体して更地として売り出す選択があります。更地にすれば、建物倒壊のリスクや管理負担から解放され、住宅用地や駐車場用地など、買い手の使い勝手もよくなります。

一方で、解体費用は木造住宅でも多額の費用がかかることが多く、構造や規模によってはさらに高額になります。また、建物を取り壊すと住宅用地の特例が受けられなくなり、土地の固定資産税が上昇する点もデメリットです。

不動産会社による買取を利用する

一般の仲介で売却するのが難しい場合や、時間をかけずに現金化したい場合には、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。買い手を探す必要がなく、仲介手数料もかからないため、スピード重視の方には向いています。

ただし、買取価格は相場より低くなることが一般的であり、「早さ」と「価格」をどこまで許容するかの判断が必要です。

無償譲渡や寄付、空き家バンクの活用

近隣の地権者や知人に無償で引き取ってもらう、空き家バンクに登録して移住希望者や地域団体に活用してもらう、といった方法もあります。また、国や自治体、特定の公益法人に対する寄付であれば、相続税が非課税となる場合があります。

ただし自治体は、明確な利用目的がないと寄付を受け付けてくれないことも想定されます。また個人や法人への無償譲渡は、受け取る側に贈与税がかかる可能性もあるため、事前の確認が欠かせません。

相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月にスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、一定の条件を満たした土地を国に引き取ってもらえる仕組みです。相続したものの使い道がなく、今後も維持が難しい土地について、所有権を手放す道を開く制度です。

ただし建物が残っている土地は原則として対象外であり、空き家がある場合には事前に解体して更地にしておく必要があります。また、申請時の審査手数料や、承認された場合の負担金も必要となるため、ほかの選択肢との比較検討が必要です。

4- 相続放棄

空き家を含む相続財産を一切引き継ぎたくない場合には、「相続放棄」を選ぶことができます。相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったものと扱われ、プラスの資産もマイナスの負債も受け継がないことになります。

相続放棄をするには、相続の開始を知った日から3カ月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄の申述」を行う必要があります。ただし、空き家だけを選んで放棄することはできず、預貯金やほかの不動産も含めたすべての財産を手放すことになる点には注意が必要です。

さらに見落としがちなのは、「現にその家を占有している(住んでいる・管理している)場合」は、相続放棄をしても、すぐに管理責任から解放されるわけではないという点です。民法により、次の相続人や相続財産管理人に財産を引き渡すまでは、相続放棄をした人にも管理義務が残ります。

全員が放棄して誰も動かない状況が続けば、空き家が放置され、水漏れや倒壊などの事故が起きた際に、放棄したはずの人が責任を問われる可能性もあります。

5- 相続空き家を売却する際の強力な味方:3,000万円特別控除

特別控除

利用する予定がない空き家について、「売却」を選ぶのであれば、ぜひ検討したいのが「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、いわゆる「空き家の3,000万円特別控除」です。

これは一定の要件を満たす相続空き家またはその敷地を、定められた期間内に売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。

ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、相続または遺贈でその家・敷地を取得した相続人が3人以上いるときは、控除できる金額の上限は3,000万円ではなく2,000万円になります。

主に以下の条件を満たすことが必要です。

  • 売却代金が1億円以下。
  • 譲渡までに耐震リフォームをして耐震基準を満たすか、更地にして譲渡すること。譲渡後の解体でも可能です。
  • 売った家屋や敷地について、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」「収用等の場合の特別控除」などと同時適用はできません。
  • 同一の被相続人から相続または遺贈で取得した被相続人居住用家屋やその敷地等については、この特例は一度しか使えません。一部について特例を使った後、同じ被相続人に関する別の部分で再度この特例を使うことはできません。
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売った場合には使えません。

特例の対象となる「家」と「敷地」の範囲

この節では特例の対象となる被相続人居住用家屋・被相続人居住用家屋の敷地等について解説します。

被相続人居住用家屋

この特例でいう「被相続人居住用家屋」とは、基本的には相続が始まる直前に被相続人が実際に住んでいた家で次の3つの条件をすべて満たすもの(1つの建物に限る)を指します。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家(旧耐震基準)であること。
  • 区分所有建物(マンションなど)として登記されていないこと。
  • 相続開始の直前に、被相続人以外に住んでいた人がいないこと。

被相続人居住用家屋の敷地等

「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、基本的に相続開始の直前(一定の場合は、被相続人がそこに住まなくなる直前)に被相続人居住用家屋の敷地として使われていた土地、またはその土地の上にある土地に関する権利(借地権など)のことです。

6- そのほかの重要な税制特例

空き家の相続に関しては、3,000万円特別控除だけでなく、「小規模宅地等の特例」も重要です。

被相続人の自宅の土地について、一定の条件を満たす場合には、330m2までの部分について相続税評価額を80%減額できる可能性があります。

小規模宅地等の特例は主に被相続人と同居していた配偶者や親族が対象となります。また老人ホーム入居中でも、一時的な転居とみなされ、特例を受けられるケースもあります。

また、マイナスの財産の多さが心配な場合には「限定承認」という制度もあります。

これは、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を引き継ぐ仕組みですが、相続人全員が一緒に手続きする必要があること、専門的な手続きと費用がかかることなどから、実務では利用が少ないのが現状です。

まとめ

空き家を相続することは、単に古い家を一つ受け取るという話ではなく、固定資産税や維持費、近隣トラブルや行政対応、さらには将来の解体費用まで含めた、長期的な責任を引き受けることを意味します。

必要な対応は家の状態や立地、相続人の家族構成、ほかの財産の有無、今後のライフプランによって大きく異なります。

空き家をどうするか、今すぐ結論は出せないけれど「資産価値はきちんと守っておきたい」「いつか自分や子どもが使うかもしれない」「いざ売るとなったときに少しでも有利に進めたい」そんなお気持ちがある方には、空き家管理サービスの活用が有効です。

専門の業者に定期巡回や近隣トラブルの芽のチェックまで任せることで、建物の劣化や景観悪化を防ぎ、将来の活用・売却の選択肢を広く残すことができます。

ご自身だけで無理をして抱え込まず、プロに管理をアウトソースすることは、「今はまだ手放さない」という決断を支え、空き家の価値とご家族の安心を同時に守るための、賢い一手といえるでしょう。

ぜひ弊社の空き家管理サービスをご利用ください。

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