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空き家の庭木伐採について|2023年民法改正後の最新ルールと対策

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少子高齢化や都市部への人口集中の影響もあり、日本の空き家は年々増えています。老朽建物の危険だけでなく庭木や雑草の放置が原因で、近隣との摩擦・衛生問題・防災上のリスクが顕在化するケースが後を絶ちません。

とりわけ住宅密集地では、「枝が越境している」「害虫が湧く」「落葉や果実で迷惑」といった苦情が頻出し、対応を誤ると所有者自身に法的責任や多額の費用負担が跳ね返ってくることもあります。

そこで本稿では、空き家の庭木を放置したときに起こり得る具体的なリスク、2023年4月1日施行の民法改正(枝の切取りに関する新ルール)の要点、そして紛争を避け資産を守るための現実的な管理・活用の選択肢までを分かりやすく解説します。

適切な庭管理は資産価値の維持はもちろん、地域の安全や景観保全への確かな貢献にもつながります。

1- 空き家の庭木放置のリスク

建物の定期点検と同様に、庭の手入れを継続することは空き家の所有者にとって大切な責務です。

雑草や樹木をそのままにしておくと見た目の悪化だけでなく、害虫の発生や視界不良、通行の妨げ、近隣敷地への越境など、周辺へ及ぶ影響は予想以上に広く深刻になります。

適切な維持管理は、トラブルの未然防止と環境の保全につながります。

空き家に特有の主なリスク

伸び放題の雑草や植木は、以下のようなトラブルを引き起こす可能性があります。

衛生・安全上の問題

  • 昆虫被害の増加:蚊やハチ(特にスズメバチ)の温床になりやすく、近隣住民や通行人へ危害を及ぼすおそれがあります。とりわけスズメバチの巣が隣家にまで影響した場合、所有者が管理責任を問われる可能性があります。
  • 害獣・鳥類が住み着く:ハクビシンなどの害獣や群れる鳥が住み着き、鳴き声による騒音や糞害で衛生環境を悪化させます。
  • 雑草種子の拡散:雑草の種が敷地外へ飛散し、近隣の庭や公共スペースでの繁茂を招く原因となります。
  • 家屋の劣化・倒壊リスク:シロアリが繁殖すると基礎や柱が侵食され、建物の老朽化が加速します。最悪の場合、家屋倒壊の危険性も高まります。

物理的損害・事故リスク

  • 越境による人的被害:敷地外へ張り出した枝葉が歩行者や近隣住民に接触し、ケガを負わせるおそれがあります。
  • 隣家設備・建物の損傷:侵入した枝が外壁をこすって傷を付けたり、雨どいを詰まらせたり、落果が車両を汚損したりとトラブルが想定されます。
  • 火災リスクの上昇:冬季に伸び放題だった雑草が枯れた状態になると可燃性が高まり、タバコの投げ捨てなどを契機に火災へ発展しやすくなります。
  • 倒木・落枝の危険:大型樹木は台風や強風で倒れたり枝が落ちたりする可能性があり、被害が広範囲に及ぶリスクがあります。

治安・景観への悪影響

  • 治安面のリスク増大:放置空き家は放火や侵入盗の標的になりやすく、うっそうとした植栽が死角をつくって犯行を助長します。実際に不審者が居座った事例も見受けられます。
  • 不法投棄・悪臭の発生:雑草や枝葉が伸び放題の環境はゴミ捨ての温床となり、腐敗臭などの悪臭を招いて近隣とのトラブルに発展しやすくなります。
  • 景観価値の低下:手入れ不足の庭木は街並みの美観を大きく損ね、地域全体の魅力や印象を下げてしまいます。

行政から「特定空家等」「管理不全空家等」に認定されるリスク

上記のような問題が放置されると、空き家は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、自治体から「特定空家等」「管理不全空家等」に指定されるおそれがあります。

特定空家等とは倒壊の危険や衛生上の支障などが認められる建物を指し、管理不全空家等とは特定空家等になり得る建物を指します。庭木が繁茂している状態は、指定理由の一つになる場合があります。

指導に従わない場合、住宅用地特例が外れ、固定資産税の軽減が適用されなくなるため、金銭的負担が大幅に増加するでしょう。

また自治体からの改善指示(催告)に応じないと、最大50万円以下の過料を科される場合があります。

2- 2023年4月施行の民法改正

法改定を指で指す画像



空き家から伸びた庭木が隣家に越境し、迷惑をかけている場合、これまでは隣地住民が勝手に切ることは原則として禁止されていました。

しかし、2023年4月1日に民法が改正され、このルールが大きく変わりました。

改正前に抱えていた課題

民法改正前は、隣接する空き家の樹木が境界線を越えて枝を伸ばしてきても、被害を受けた側ができるのは、竹木の所有者に枝の切除を求めることに限られていました。

所有者が応じない場合には、越境された側が裁判所に訴えて切除を命じる判決を得た上で、強制執行の手続きを進める必要があり、所有者不明や相続関係の複雑さが絡むと、多大な時間と手間を要しました。

なお、枝とは異なり、越境してきた根については、改正前から被害側で自ら切り取ることが認められていました。

改正後:一定条件で「隣地側が枝を切れる」

2023年4月1日の民法改正により、枝の切除は原則として木の所有者に求めるという従来の考え方は維持されつつ、次のいずれかに該当する場合に限って、越境被害を受けた側(隣地の所有者)が自ら枝を切れるようになりました。

  • 所有者が応じない:越境枝の切除を求めて催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当期間内に適切な対応を取らないとき。
  • 所有者が不明:空き家などで木の所有者が判明しない、または所在が把握できない場合。
  • 緊急性が高い:台風等の災害で折損の危険が差し迫るなど、急を要する事情があるとき。
この改正により、空き家から伸びた越境枝に長年困っていたケースでも、一定の要件を満たせば隣地側で直接対処できる道が開かれました。

重要ポイント

「相当の期間」の目安

「相当の期間」とは、越境した枝を切除できるよう所有者に必要な準備時間を与える趣旨で、ケースごとに異なりますが、一般的にはおおむね2週間前後が目安とされています。隣地から是正の申し入れを受けた場合は、できるだけ速やかに対応することが重要です。

費用の求償(原則請求可)

越境した庭木の伐採費用は、原則として当該樹木の所有者へ負担を求めることが可能と考えられています。越境枝が他人の土地所有権を侵害していること、ならびに伐採を行った側が本来は所有者が負うべき切除義務を代行したと評価できるためです。

もっとも、どこまでを請求対象とするかや、金額水準について折り合えないケースも少なくありません。

費用負担トラブルを避けるには、複数業者の見積もり書を取り寄せるなど、第三者が見ても説明可能な資料を整えておくと有効です。なお、所有者が任意に支払いに応じない場合には、最終的に訴訟などの法的手続を検討することになります。

隣地使用権

枝を切るためにやむを得ず隣地に立ち入る必要がある場合、必要最小限の範囲で立ち入れます。ただし、日時・方法は相手方の不利益が最小になるよう配慮した上で、事前連絡・立ち会い調整をしておくのがトラブル予防の王道です。

共有物対応

問題の竹木が共有名義でも、求められた共有者は単独で切除対応できます。合意形成の遅れで対処不能に陥る事態を避けやすくなりました。

3- 放置で所有者に跳ね返るコストとリスク

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この章では、空き家の庭木を放置することによる主なリスクについて解説します。

行政指導~行政代執行~費用徴収

繁茂や越境などにより苦情が続けば、自治体から指導・勧告・命令と手続きが進み、場合によっては行政代執行(役所が代わりに伐採・剪定を実施)となります。

実施費用は最終的に所有者へ請求され、延滞金・督促のリスクもあります。

損害賠償

樹木の設置・保存に瑕疵があると評価され、落枝・倒木などで第三者に損害が出れば、占有者・所有者が賠償責任を負う可能性があります。

人的被害や車両損傷などは金額も大きくなりがちで、保険未加入だと家計を直撃します。

特殊伐採の高額化

長年放置で樹高が伸び、重機の進入不可・電線に近接・狭あい地といった条件が重なると、ロープワークやクレーンを要する「特殊伐採」が必要になります。対応できる職人が限られ、通常伐採より割高になるのが通例です。

「早めの小手入れ」が最終的な総コスト最小化に直結します。

4- 剪定と伐採の基本と考え方

この章では剪定と伐採について解説します。

剪定(せんてい)と伐採(ばっさい)の違い

  • 剪定:樹勢を整え、健康維持・形の保持・採光や通風を確保することです。不要枝・徒長枝・込み合い枝を間引きします。景観維持・病害虫予防に有効です。
  • 伐採:危険木・不要木を根元から撤去してリスク源を除去することです。倒木・越境・維持困難などの懸念を一気に解消できます。

空き家なら「伐採」も現実的な選択肢

定期的に通えない・人手がないなら、再繁茂を抑える意味で伐採は有力です。

一方で、目隠し機能の喪失や、思い入れのある木を切ることへの心理的抵抗、親族間の合意形成などの課題も無視できません。

剪定継続は景観・環境面の利点がありますが、年数回の反復手入れが前提となり、時間・費用のランニングコストが発生します。

5- 自分でやる?プロに任せる?

この章では空き家の庭木伐採を自分で実施する場合とプロに任せる場合を比較します。

DIYで対応する場合のコツ


雑草対策は優先順位が高い事項です。雑草が生い茂る敷地は「不在」が透けて見え、防犯リスクが跳ね上がります。

  • 処理の基本:根ごと引き抜き、除草剤を併用します。再生抑制には防草シートの敷設が効果的です。
  • ベストタイミング:梅雨入り前に強めに実施します。雨後は伸長が加速するため、その直後の処理が効率的です。
  • 頻度目安:基本的に年2~3回実施します。繁殖状況により増減します。
  • 道具:鎌・熊手・剪定ばさみ、面積が広いなら草刈機が有効です。高所には高枝切りばさみを利用するとよいでしょう。購入負担が大きい場合はレンタルすることでの節約も検討しましょう。
  • 安全第一:高所作業・太枝切り・伐木は無理をしないことが重要です。刃の跳ね返り・飛石に注意し、周囲と十分な距離を確保しましょう。
  • 廃棄物処分:自治体ごとに出し方・上限量・有料規定が異なるため、事前確認が必須です。大量に出るなら臨時回収・クリーンセンターの活用も検討しましょう。

専門家に依頼する場合の窓口と選び方


  • 空き家管理会社:庭手入れに加え、建物見回り・ポスト整理・換気・簡易点検などを一括委託可能です。
  • 造園業者:仕上がり重視・継続管理に向きます。
  • シルバー人材センター:草取り・剪定など比較的シンプルな作業向きです。予約が取りづらい地域もあります。
  • 便利屋:小規模・スポット作業向けです。範囲・責任分界点を事前に明確化すると安心です。

6- 自分で管理する以外の選択肢

定期管理にはお金・時間・労力がかかります。遠方居住や将来の利用予定がないなら、管理以外のアプローチも合理的です。

現況のまま売却

管理コスト・心理的負担から解放されます。進め方としては不動産会社に無料査定を依頼し、市場性や売却スキームの説明を受けましょう。

解体して更地で売却

メリットは建物管理が不要になることです。一般に古家付きより更地のほうが流通性が高い傾向があります。

自治体によっては解体補助金がある場合もあります。事前に確認することが必要です。

収益化・地域活用

賃貸・シェアハウス・民泊・カフェ・コミュニティ施設などとして利用するのも一つの手です。

留意点として、古家活用は改修費がかさみやすいため、採算性の精密な試算が不可欠です。また、DIY可賃貸として貸し出せば、低めの賃料と引き換えに入居者が改装してくれるケースもあります。

空き家管理代行

定期見回り・通風・清掃・ポスト整理・草刈りなどをアウトソースできます。特におすすめの方法です。

まとめ

空き家の庭木・雑草放置は、衛生・安全・景観・治安・法務・費用のすべてに悪影響を及ぼします。

2023年の民法改正により、一定条件で隣地側が越境枝を自ら切れるようになり、費用の求償も原則可能になりました。ただし、催告の証跡・作業の合理性・費用の相当性の立証が肝です。

所有者側が放置を続ければ、行政代執行・過料・損害賠償・特殊伐採の高額化という最悪のコースに陥りかねません。

対策の基本は定期的な剪定・雑草管理と記録化です。遠方・多忙なら業者委託や管理代行で合理化を図りましょう。

結論はシンプルです。「早めに・計画的に・証跡を残して・必要ならプロと組む」。この4点を押さえれば法改正後のルールの下でも、無駄な対立や出費を最小限に抑えつつ、あなたの資産と地域の安心をしっかり守れます。

特に、ダスキンの空き家管理サービスではお客様の意向をしっかりヒアリングするので、軽い剪定も、バッサリ切ることもできます。

ぜひご利用をご検討ください。

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